大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和25(あ)851 判決

主 文

本件上告を棄却する。

当審における未決勾留日数中一八〇日を本刑に算入する。

理 由

弁護人池田克および被告人Aの上告趣意は、末尾に添えた別紙記載の通りである。

(一) 池田弁護人の論旨は段落を設けていないが、三点から成るように思われ

る。その第一点は、第一審判決は「細紐様のものを巻きつけ絞め」た旨を認定した

が右事実の証拠はないから事実誤認である、との控訴人の主張に対し、原判決が、

第一審判決が挙げた証拠から見ると所論判示の点は「手拭を巻きつけて絞め」た事

実を認定し得るのであつて、右第一審判決の用語「細紐様のもの」は手拭の趣旨で

あると解すべく、第一審判決には所論のごとき違蕎はない。と判断した点につき、

右「細紐様のもの」を手拭と解する判断は社会通念に反する。と主張し、その前提

のもとに第一審判決は審理不尽、理由不備であり、ひいては憲法三一条、七六条三

項の違反であるから、従つて右第一審判決を是認した原審判決も同様の違法をまぬ

かれない、というのである。しかしながら、原審判決は「細紐様のもの」と言えば

社会通念上手拭と解すべしと論断したのではなく第一審判決が挙げた証拠によつて

被告人が被害者Bののどを絞めたことおよびそれに用いたのは被害者方にあつた手

拭であつたことが認定されるのであるから第一審判決判示の「細紐様のもの」とい

う表現は右手拭を意味すると説明したまでであつて、第一審判決の挙げた証拠に照

らせば右原審の判断は相当と思われるから、論旨は結局憲法違反論の前提たるべき

事実を欠くものであつて、上告の適法な理由にならない。

(二) 同論旨の第二点は、第一審判決は被告人の公判廷外の自由を採証したも

ので補強証拠を欠き刑訴三一九条違反である。との控訴人の主張に対し、原判決が、

第一審判決挙示の証拠によれば判示事実認定には所論の違法はない。と判断したこ

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とにつき、憲法三八条三項等に違反すると非難する、しかしながら、第一審判決が

本件犯行を認定したのは所論の自白のみによつたのではないのであつて、この論旨

もまた名を違憲の主張にかりて第一審判決の証拠判断を攻撃するにほかならず、上

告の適法の理由にならない。

(三) 同論旨の第三点は、被告人の性情と本件犯行の動機を述べて量刑の不当

を主張するのであつて、刑訴法四〇五条に当らない。

(四) 被告人の論旨は、犯行の動機および犯行時の心理状態を述べ、さらに被

告人の司法警察員に対する供述が任意のものでない旨および第一審証人Bの供述が

信用しがたいことを主張するもので、結局本件傷害の事実を誤認なりとするに帰し、

刑訴法四〇五条に当らない。

(五) その他刑訴法四一一条に当る事由も存しない。

よつて、刑訴法四〇八条刑法二一条に従い、主文の通り判決する。

以上は当小法廷裁判官全員一致の意見である。

昭和二六年一月一六日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 穂 積 重 遠

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